寿川念仏道場(五箇山)概要: 寿川念仏道場の創建は不詳ですが五箇山では赤尾谷の出身の道宗が室町時代後期に浄土真宗本願寺8代蓮如上人から教化を受け文安3年(1446)に行徳寺(南砺市西赤尾、当時は赤尾道場)を開いて以降、浄土真宗信徒が増大し各集落に念仏道場が設けられるようになりました。
戦国時代には全国各地で発生した一向一揆でも五箇山の村々の信者達も大きく関わり信仰の篤さが窺われます。寿川念仏道場にそのような中で設けられた民間宗教施設で、現在残されている喚鐘の銘に宝暦4年(1754)の年号が記されていることから少なくともそれ以前から存在していたと推定されています。
現在の建物は文政3年(1820)に起工し文政4年(1821)に竣工したもので木造平屋建、入母屋、妻入、茅葺、桁行6間半、梁間3間、背面5間、正面に1間の向拝付き、外壁は真壁造り板張り素地、華美な意匠は少なく、向拝の虹梁、木鼻などに僅かに渦状の彫刻が施されています。
内部は大きく外陣、欄内、3間内陣、左右余1間で構成され内陣には押板風仏壇、右余間には1間仏壇左余間には控えの間があるなど古風の形式が概ね真宗本堂寺院の形式を模した造りになっています。
五箇山は古くから真宗の念仏道場が各集落に建立され、現在でも精神の拠り所として道場の遺構を見ることが出来ます。寿川念仏道場は江戸時代後期に建てられた在家道場遺の好例で、御堂建築の遺構として貴重な事から昭和61年(1986)に富山県指定有形文化財に指定されています。
寿川念仏道場:上空画像
【 参考:文献等 】
・ 現地案内板-南砺市教育委員会
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