天狗の足跡(五箇山相倉集落)概要: 数百年も昔、五箇山相倉集落の上にあるヤノクラから天狗が跨いだ時に付けられた足跡です。集落の伝承では天狗はヤノクラから川向かいの「島の山」まで二跨ぎで渡る事が出来たとされ、ある時天狗が一回転して、この岩に片足を付いて、さらに一回転して「島の山」に飛んでいったと伝えられています。大きさは人間程ですが、深さは2〜3cm位あり人間技とは到底考えられない代物です。又、相倉集落が国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された際には「環境物件」の1つとして評価されています。
天狗伝説: 古くから相倉集落の北側に聳える大きく尖がった大岩(ヤノクラ)には多くの天狗が住んでいるとされ、人が決して登れない急峻の崖の上には人には見えない穴があり、そこから大岩の中に入ると天狗の御殿があったそうです。御茶が大好きな天狗は、態々、名水として知られる漆原集落の湧水を汲み出す為に毎日往復したとされ大岩に近づくと、金の茶釜で御茶を沸かすグツグツと御茶が煮える音と天狗の笑い声が聞こえると伝えられています。それらの音に加えて、祭り好きの天狗は良く太鼓を叩くとされ、天気や気候の変わり目に音の音色が変わる為、農作物の栽培の目安にしていました。又、御殿には様々場所と岩穴で繋がり、ある時、相倉集落の猿滝の岩穴近くで焚き火をしたところ、大岩から煙が上がったそうです。
天狗の神隠し伝説: 五箇山では度々、住民が理由も無く失踪する事があり、多くは天狗によって「ヤノクラ」に連れ去られたと信じられていました。ある時、村人の1人の姿が見えなくなり、長い間帰って来なかったので、心配していた所、ひょっこりと帰ってきましたが、その後雨が降り出すと、急に思い立ったように、「干してきたものがそのままで、これでは大変な事になる」と言い、再び姿を消し2度と村に帰ってくる事がなかったと云われています。
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