杉沢の沢スギ(入善町)概要: 杉沢の沢スギは富山県下新川郡入善町吉原に位置しています。昭和60年(1985)に全国名水百選の一つに選定されている「黒部川扇状地湧水群」に分布する杉林で、北アルプスを源流とする黒部川の伏流水から湧き出た地下水の影響で通年を通して温度変化が少なくタブノキ、ユズリハ、カラタチバナ、マンリョウ、オモト、トキワアケビ、ベニシダ、キジノオシダ、オオキジノオシダなど比較的温暖な地域で植生する植物と黒部川上流に植生しているアケボノシュスラン、ノリウツギ、キンコウカ、ショウジョウバカマ、サイハイラン、ヤマドリゼンマイ、オオバツツジなど山地性の植物、ギボウシラン、サギソウ、モウセンゴケなどの湿地性の植物が共存しています。
杉沢の沢スギは、積雪により枝が曲げられた上、萠芽性が強く伏状性がある為、根本から幼苗を多数分枝した特異な樹形を見せています。かつては地名で杉沢と付くほど天然杉が密生し昭和44年(1969)でも約45ヘクタールの森林が残っていたものの、その後の圃場整備事業などの開発でほとんどが開墾伐採され現在では2.7ヘクタールしか残っていませんが扇状地の末端部において、このような自然林が残されているのは全国でも珍しく独特の植生が見られ、「代表的原始林、稀有の森林植物相」の指定基準を満たしている事から昭和48年(1973)に国天然記念物に指定されています。
杉沢の沢スギ:上空画像
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