大岩山日石寺(上市町)概要: 大岩山日石寺は富山県中新川郡上市町大岩は真言密宗の寺院です。日石寺の創建は奈良時代の神亀2年(725)、高僧として知られた行基菩薩が本尊である不動明王像(制作年:平安時代後期・像高:313.3cm)と脇侍である矜羯羅童子像(制作年:平安時代後期・像高:214cm)、制咤迦童子(制作年:平安時代後期・像高:214cm)を岩肌に彫刻し開山したのが始まりと伝えられています。
古くから立山の山岳信仰の一端として寺運も隆盛し最盛期には21社60坊を抱える大寺院として名を馳せました。戦国時代の天正年間(1573〜1592年)に上杉謙信(春日山城の城主、越後国守護、関東管領)の越中侵攻の兵火に遭い多くの堂宇、寺宝、記録が焼失し衰退しました。その後、慶長年間(1596〜1615年)に弘寒上人により再興が図られ、慶安4年(1651)に加賀藩(本城:金沢城)2代藩主前田利常が子宝祈願を行い、見事正室である珠姫(天徳院、2代将軍徳川秀忠の娘)が懐妊した事を受けて祈願所と定め篤く帰依し堂宇の再建が図られました。
日石寺の本尊である大岩日石寺磨崖仏(国指定重要文化財)は不動明王像、二童子像(矜羯羅童子像・制咤迦童子像)、阿弥陀如来像、僧形像の5体で構成され、中でも不動明王像と二童子像は行基が自ら彫り込んだと伝わるもので(実際は平安時代末期作)大きさや美しさ、保存状態から全国の中でも指折りの磨崖仏とされます。大岩日石寺磨崖仏は大変貴重な事から国指定重要文化財に指定されています。
日石寺境内背後にある三重塔(上市町指定有形文化財)は弘化2年(1845)に建てられた富山県最古の三重塔で宝形屋根、桟瓦葺、桁行3間、梁間3間、総高さ約15m、三重塔婆、折衷様式、財政難だった為、外壁が造られず未完のまま現在に至っています。境内正面の山門(上市町指定有形文化財)は元禄年間(1688〜1704年)に建てられたもので、三間一戸、桁行3間、張間2間、入母屋、桟瓦葺き、八脚楼門形式、外壁は真壁造板張り、「大日王」の扁額、上層部には高欄を回し、下層部の両側には仁王像が安置されています。
日石寺境内一円は大変貴重な事から名称「大岩日石寺石仏」として昭和5年(1930)に国指定史跡に指定されています。越中一国三十三観音霊場第28番札所。北陸三十六不動霊場第20番札所(札所本尊:不動明王)。山号:大岩山。宗派:真言密宗。本尊:不動明王、熊野権現、矜迦羅童子、行基菩薩、制多迦童子。
大岩山日石寺:上空画像
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