八心大市比古神社(黒部市)概要: 八心大市比古神社は富山県黒部市三日市に鎮座している神社です。八心大市比古神社の創建は不詳ですが伝承によると孝謙天皇(第46代天皇・在位:749〜758年・第48代天皇・在位:764〜770年)の時代、嘉例沢の山頂より御幣が飛んできてこの地に降り立った事から小祠を建立し祀ったところ、知らない間に3体の神像が安置されていたので「三島大明神」と呼んで篤く信仰したのが始まりと伝えられています。
延長5年(927)に編纂された延喜式神名帳にも式内社として記載され、当初は勅使の下向があるなど格式の高い神社として社殿も壮麗を極めたそうです。
鎌倉時代には当地の地頭に就任した佐野源左衛門が崇敬社だった伊豆国一宮である三嶋大社(静岡県三島市)の境内から桜の枝を取り寄せ八心大市比古神社の境内にある神木に接木したとの伝承があります(佐野源左衛門は「いざ鎌倉」と主人公として有名ですが、佐野源左衛門の伝承は当地だけでなく全国各地に残されています)。戦国時代長尾氏の兵火により数多くの社殿、社宝、記録などが焼失し天正8年(1580)に現在地に遷座し、明治6年(1873)に県社に列しています。
元々境内が広大でしたが道路の開削や都市計画等で縮小分断され、向いにある「桜井の化藤」「三島の大ケヤキ」は八心大市比古神社の飛地で黒部市指定天然記念物に指定されています。
社宝には御獅子頭御入之家の古文書や鰐口(寛文4年:1664年)、鶏之図絵馬(元禄2年:1689年)などがあり、特に鶏之図絵馬は鶏を描いた絵馬としては富山県最古のもので横幅60cm、縦41cm、杉の一枚板に着色したもので平成4年(1992)に黒部市指定有形文化財に指定されています(この地では鶏は神の使いとして信仰の対象になっているようです)。又、八心大市比古神社は歴史的にも貴重な事から境内一円が昭和30年(1955)に黒部市指定史跡に指定されています。
現在の八心大市比古神社社殿は昭和17年(1942)に造営されたもので、木造平屋建て、入母屋、銅板葺き、正面千鳥破風、桁行7間、正面3間軒唐破風向拝付き。本殿は三間社流造、銅板葺き。祭神:大山祇神、少彦名神、軻遇突智神。合祀神:天照皇大神。
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