旧森家住宅(北前船廻船問屋)概要: 旧森家住宅は富山県富山市東岩瀬町大町通りに位置する大型町屋建築(古民家)です。
森家は、代々四十物屋仙右衛門を世襲してきた船持ちの肥料問屋を営んできた家柄で、江戸時代後期からは北前船の廻船問屋として大いに栄え財を成しました。
旧森家住宅主屋は明治11年(1878)に建てられた建物で、外壁は真壁造(両脇は板張り)、白漆喰仕上げ、開口部は細格子窓で2階の外壁両側には防火用の袖壁が設え、大屋根と1階の下屋庇は大きく張り出し太い出桁で押えています。
旧森家住宅主屋の正面の間口は広く平面は三列四段型で全面と蔵前に中庭が配され通気と採光が取れるようにし(オイの天井も張らずに採光、通風が出来る工夫)、荷物の搬入、搬出が容易に出来るように正面店部分から背後の蔵や裏の船着場まで通り土間が通っています。
岩瀬の歴史を感じさせる旧森家住宅(北前船廻船問屋)
内部は1階が「ミセ(帳場)」、「オイ(囲炉裏付)」、「座敷(床の間付)」、「仏間」、「前座敷(床の間付)」、「茶室」、「台所」などがあり2階は番頭の居室となっていました。
意匠にも優れ座敷の床の間、箱階段、吹抜けの梁・差物・帯戸、土蔵扉の鏝画、青銅製の瀟洒な瓦斯灯(ガス灯)、茶室の壁面は弁柄色で彩るなど見所が多く、当時廻船問屋の名残が随所に感じられます。
完成までは3年の年月を費やしたとされ、棟梁は京都の東本願寺を手懸けた名工を呼び寄せ、木材も全国から銘木を集め贅を凝らした造りになっています。
旧森家住宅の主屋(明治11年:1878建築、木造2階建て、切妻、鉄板葺、平入、建築面積263.57u、背面南方浴室及び便所附属)、北土蔵(明治時代前期建築、土造2階建、切妻、桟瓦葺、建築面積38.89u)、南土蔵(明治時代前期建築、土造2階建、切妻、桟瓦葺、建築面積22.54u)の3棟は当時の廻船問屋の生活の一端が分かる大変貴重で「意匠的に優秀なもの」、「流派的又は地方的特色において顕著なもの」との指定基準を満たしていることから平成6年(1994)に国指定重要文化財に指定されています。
旧森家住宅:上空画像
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